ペルー警察、アマゾンのジャングルで先住民虐殺か
2009年6月5日早朝、ペルー北部のアマゾン県にあるバグア郡で、政府が進める採鉱と石油採掘計画に反対していた先住民の活動家たちと警官隊のあいだで衝突が起き、数十人が死亡しました。ペルー当局は外出禁止令を発令し、治安部隊がアマゾンの熱帯雨林に散在する都市をパトロールしています。
ペルー当局は、警察官22人が殺害され、2名が行方不明であると発表しています。先住民側は、週末の衝突で子供3人を含む少なくとも40人が警察により殺害されたと語っています。アマゾン地域社会の発展をめざす先住民連合体AIDESEPの代表アルベルト・ピサンゴ氏には抗議行動を扇動した罪で逮捕状が出され、地下にもぐっています。
この衝突までに、すでに2カ月近くにわたり、先住民の活動家たちが道路を塞ぎ、自分たちの土地への侵入を拒む抗議行動を続けていました。彼らが反対しているのは、ペルーのアルベルト・ゴンザレス大統領が米国との自由貿易協定を進める過程で、議会から特別な権限を与えられて断行した一連のジャングル開発法です。多国籍企業がアマゾンの土地を破壊する石油や鉱山などの資源採掘やバイオ燃料栽培に投資することを可能にする法律を、現地の住民に何の相談もなく決めたことに対し、先住民団体が反発して起こった対立でした。
しかしペルーのマスコミは政府側の見解を伝えるのみで、警察官の死傷ばかりを報道して、先住民の行動を「ペルーの発展を妨げようとする少数の後進的な人々による野蛮な行為」と印象付けたい大統領の情報操作に荷担しています。衝突直後に現地入りしたアマゾン・ウォッチのグレゴール・マクレナンに現地の様子を聞きましょう。(中野)
グレゴール・マクレナン(Gregor MacLennan)
[Amazon Watch]のプログラム・ディレクター。バグアでの衝突の翌日に現場に入り、現地の人々に取材した。
字幕翻訳:田中泉 校正・全体監修:中野真紀子・付天斉