ケニア人作家グギ・ワ・ジオンゴとの対話
1938年生まれ。グギ・ワ・ジオンゴは「エンクルマ、ケニヤッタ、マンデラが政治で行ったことを文学でなしとげた3人の作家」のひとりといわれています。デモクラシー・ナウ!には、歴史の激動に身を投じ、あるいはまきこまれて生きた自らの体験を感性豊かなことばで紡ぎ出す詩人や小説家が時折、登場し、みずみずしいことばの力で ある日、ある瞬間をまるでいまここであるかのように感じさせてくれる「すごい」体験ができ、それがこの番組の決定的にすばらしい魅力のひとつなのですが、これもまさに、そう。
南アフリカと同様に少数のヨーロッパ人が大勢を支配する入植者型植民地だったたためレイシズムがことさらにはげしかったケニアで、独立運動が動き出した頃、憧れの人で独立の闘志ケニヤッタが実は英国の手で収監されているとも知らず、町にやってくるのではないか、ぜひ一目でもあいたいと故郷の町をかけずりまわって探した少年時代のグギ・デ・ジワンゴ、1945年に英国のマンチェスターにで、米国から来たデュボイスとアフリカから来た若きエンクルマとケニヤッタなど汎アフリカ運動の知識人たちが一堂に会した会議。それを引き金に、英国からアフリカへと帰国した独立の闘志たちがガーナとケニアで連帯を励みに闘い、建国の父へとなっていったいきさつ、独立後、夢を果たせず、独裁への道を開いてしまったケニヤッタなどが、いきいきと語られます。短いのが、なんとも残念!(大竹)
グギ・ワ・ジオンゴ(Ngũgĩ wa Thiong'o) 1938年生まれのケニアの作家、劇作家、文芸評論家。20世紀のアフリカの歴史を、生きられた個人のことばを通し壮大なスケールで描く。最初は英語で、後にはキクユ語で執筆。1977年、政治犯として投獄後、長らく亡命者として米国に在住。エール大学、ニューヨーク大学などで教え、現在は、カリフォルニア大学アーヴァイン校で比較文学⁄英語の教授。邦訳作品に『夜が明けるまで:動乱に蹂躙される小さき魂』、『川をはさみて』、『精神の非植民地化:アフリカ文学における言語の政治学』など。最新作は、Dreams in a Time of War。
字幕翻訳:大竹秀子 校正・全体監修:中野真紀子 桜井まり子