チャベス政権、民放テレビ局を閉鎖 是非をめぐり徹底討論

2007/5/31(Thu)
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27分

ベネスエラのチャベス大統領は2002年、軍部によるクーデターで48時間監禁され、命を脅かされたことがありました。大統領を支持する圧倒的な民衆の力で政権を回復したチャベスは、クーデターを支持した民放を閉鎖することもなく、5年を経ました。

ところが、昨年5月、民放局RCTV(ラジオ・カラカス・テレビ)の放送免許を更新しない方針を政府が決定し、賛成・反対両派による数千人規模のデモが、4日間に渡って繰り広げられました。このセグメントでは、今回の政府によるRCTV「閉鎖」の是非をめぐって、徹底的に討論します。

チャベス政権がドキュメンタリー『革命はテレビに流れない』は、2002年にRCTVなどの局が、チャベス支持者が無防備な反対派を銃撃しているように見せかけた映像を繰り返し報道してチャベスへの怒りを煽った様子、それが嘘の報道だったという証拠などを見せています。

当時民放のRCTV局でニュース・ディレクターを務めていたアンドレス・イザーラ氏は、「クーデターによって独裁政権を樹立しようとした人々の圧力で、民放のラジオもテレビも、チャベスが監禁されるよう彼への抗議を煽り、クーデターを扇動した。クーデターの首謀者カルモナに反対して民衆が押し寄せたことは報道させてもらえず、ホームドラマと漫画を放送した」と証言しています。
 かつてベネズエラ下院の元経済担当官を務めたロドリゲス氏は、「民主主義なら、まず、ベネズエラの法廷で放送局が陰謀をたくらんだ証拠を提示して有罪にすべき。それからでないと、政府が行動を起こすべきではない。」と主張。それに対してイザーラ氏は、「ベネズエラの法廷は、2002年のクーデターさえ、クーデターだと認めていない。政府は非常に苦労している」と説明。
 
 「アメリカのNBCやCBSがベネズエラの民放のようなことをしたら、アメリカではどう対処するか、知りたい」とイザーラ氏。一口に「言論の自由」と言っても、複雑な背景が絡むベネズエラの様子を、考えさせられます。 (古山)

★ DVD 2008年度 第1巻 「中南米の潮流」に収録

* アンドレス・イザーラ(Andres Izarra) 2002年にベネズエラでクーデターがあった時、クーデターを支持した民放テレビ局RCTVのニュース・ディレクターだったが、報道に抗議して辞任。その後、チャベス政権で通信大臣を一時務め、現在は、ベネズエラ、アルゼンチン、ボリビア、キューバの多国籍衛星放送局TeleSURの社長。

*フランシスコ・ロドリゲス(Francisco Rodríguez)米国コネチカット州のウェスリアン大学にて、経済学・中南米学の准教授。2000年から2004年まで、ベネズエラ下院の経済担当官を務めた。

Credits: 

字幕翻訳:小椋優子  全体監修:古山葉子