デイビッド・グレイバー:貧困層の債務は帳消しに!

2011/9/19(Mon)
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3.5分

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オバマ大統領は財政健全化のため、増税や、メディケアやメディケードのような医療保険制度の削減を含む赤字削減案の骨子をまとめる準備を行っています。これに対して文化人類学者デイビッド・グレイバーは大胆な提案を行っています。それは国内の貧困層の債務を帳消しにする、というものです。

グレイバーは負債の観念そのものを問い直します。歴史を見ると、世界のどこでも大金持ちや政府が借りた金は常に融通が利き、減免が可能です。ところが貧乏人が金持ちに金を借りると、とたんに返済は神聖な義務となり、おいそれと免除はされません。それでも現在の米国のような社会的な危機になった場合には、歴史的に何らかの救済措置が取られてきました。新王の即位で商人への債務を帳消しにする「大赦」など、さまざまな形で制度化もされてきました。政治的な判断でいくらでも融通が効くのです。ウォール街の占拠に来た人たちは、金持ちの債務がチャラになるなら庶民の債務だって危機に際しては柔軟に対処するべきだといっています。

財政危機が宣言されるとネオリベ政策が推進され、民意を無視して極端な政策を強行するのは、かつての第三世界の債務危機とそっくりです。反グローバリズム運動が功を奏して中南米や東アジアから追い出されたIMF体制が、自国に舞い戻ったのだとグレイバーは指摘します。(中野真紀子)

 

 

 

*デイビッド・グレイバー(David Graeber)ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジで文化人類学を教える。2011年7月に出版されたDebt: The First 5,000 Years(『負債論~貨幣と暴力の5000年』)など、著書多数。

Credits: 

字幕翻訳:小椋優子/校正:桜井まり子 全体監修:中野真紀子/サイト作成:丸山紀一朗

English Script: 
http://www.democracynow.org/2011/9/19/david_graeber_the_debt_of_the