チャルマーズ・ジョンソン:復讐の女神ネメシス-アメリカ共和国の終焉 前編
ギリシャ神話に出てくる復讐の女神「ネメシス」。おごり高ぶるナルシスに魔法をかけて自分自身に恋をさせ、湖に映った自分の姿を追って溺死させた話はあまりに有名です。元CIA顧問のチャルマーズ・ジョンソン氏は、そのネメシスに「アメリカ帝国」が狙われていて、このままでは立憲共和制が崩壊すると警告します。
「国内では民主主義、対外的には帝国主義をとっているアメリカ。この2つが両立するわけが無い」と言うジョンソン氏。総計750億ドルの国防予算を自由に操るようになった軍産複合体が、いかに民主主義を弱めたかを強調しています。
また、「イラク戦争を始める時に撤退計画が無かったのは、はじめから撤退する気が無かったからだ」と言い切る彼は、世界中に737箇所もある米軍基地について調査を進める中で、「冷戦の戦士」だった自分が変わっていった様子を語っています。
ジョンソン氏が、中国や朝鮮の脅威に踊らされて軍備拡張していくことの無意味さと、宇宙のごみをはじめとした宇宙開発の危険性を述べる時、「帝国主義という名のゲーム」に参加しつつある日本がいかに慎重に道をえらぶべきかを、考えさせられます。(古山)
★ ニュースレター第36号(2011.1.12)
★ DVD 2007年度 第3巻 「2007年8-9月」に収録
* チャルマーズ・ジョンソン Chalmers Johnson: アメリカ合衆国の外交政策に関する作家、学者、著名な批評家。カリフォルニア州立大学サンディエゴ校国際関係の元教授。元CIA顧問。日本政策研究所所長。著書に、『アメリカ帝国への報復』、『アメリカ帝国の悲劇』、Nemesis: The Last Days of the American Republic(『ネメシス:アメリカ共和国の終焉』 )など。 日本でもドキュメンタリー『映画 日本国憲法』(ジャン・ユンカーマン監督)に出演している。
字幕翻訳:下條匠
全体監修:古山葉子