土地を取り戻せ 差し押さえ住宅の占拠
米国では住宅ローン危機への市民の側からの対応として、差し押さえに断固抵抗せよと呼びかけたり、行き場を失った人々が空いている公共の建物に一時滞在できるよう働きかけたり、空き家になっている差し押さえ物件に住みつくのを援助する、いわゆるスクォッター運動が各地で起こっています。
この背後には、この危機を招いた金融機関が納税者によって救済されるのに、敬遠者は責任を取らず、住宅ローンの破綻で多くのホームレスが出ているのに、銀行が差し押さえた物件は将来売却するための資産として空き家のまま放置されているという状況があります。
マイアミの団体「土地を取り戻せ」Take Back the Land は、立ち退かされた人々が空き家になっている差押さえ物件に不法に入居するのを手伝っています。リーダーのマックス・ラモー氏は、2006年10月に数百人のホームレスと共に空き地になっている地方自治体所有の土地を占拠してテント村を設立し、ウモジャ村と名づけました。ウモジャは団結という意味のスワヒリ語ですから、さしずめ「団結の村」です。
当時、マスコミが「開発ブーム」と呼んだ土地投機と住宅バブルによって家賃が高騰し、黒人コミユニティは大きな打撃を受けました。低所得層向けの住宅を開発するはずの地方自治体の資金も、いつのまにか高級マンションの開発にあてられました。政府と業者の癒着が明らかになり、住民たちのあいだに自分たちの住む土地を勝手な開発から守ろうという動きが出てきたのが、ウモジャ村建設につながりました。
この住宅バブルが崩壊し、米国では2008年に約250万戸が差し押さえになりました。フロリダ州は特に被害が大きく、マイアミデイド郡だけで4万戸以上が差し押さえられました。空き家になった物件があちこちに出現する一方、路上生活を余儀なくされる人々も急増しています。「土地を取り戻せ」は、これらの空き家に家を失った人々を住まわせる組織的な運動を始めました。(中野)
*マックス・ラモー(Max Rameau)マイアミ在住の活動家で、『土地を取り戻せ 再開発とウモジャ村』の著者。上記の解説はTake Back the Landのサイトから
字幕翻訳:さかまきさきえ/校正・全体監修:中野真紀子