エクアドルのコレア大統領へのインタビュー
中南米の左傾化の一翼を担うエクアドルのラファエル・コレア大統領への単独インタビューをお届けします。2009年6月下旬、国連で行われた世界金融・経済危機と開発への影響に関する高官レベルの会合に出席するためニューヨークに滞在中のコレア大統領にお話を伺いました。
番組では、グローバル資本主義、マンタにある米軍基地協定の更新拒否、アマゾンに暮らす数千人の先住民が毒性の強い油井汚染に関して石油メジャーのシェブロン社に120億ドルの損害賠償を求めている訴訟、エクアドルとコロンビアの関係、そしてコレア氏のオバマ大統領に対するアドバイスについて質問しました。
コレア氏がオバマ新政権に希望するのは、「中南米についてもっと知識と理解を深め、特定のイデオロギーの肩を持つメディアの権力に流されないで、英雄が必ずしも英雄とは限らず、悪役が必ずしも悪役ではないということを理解してください」というものです。(斉木)
ラファエル・コレア・デルガド(Rafael Correa Delgado)
エクアドル大統領。エクアドルとベルギーで学んだあと、米国イリノイ州立大で経済学博士号を取得。2005年、当時のパラシオ政権の経済財務相に就任し、世界銀行や国際通貨基金と距離を置いた政策を追及するが大統領と対立して辞任、同時に大衆的な支持を得る。2006年10月に大統領に選出され、2007年1月就任。2009年4月の大統領選で再選を果し、8月に二期目の任期開始。基本路線として、新自由主義と決別する「21世紀の社会主義」を提案、それを具体化するため2008年9月には新憲法案を国民投票にかけ、約七割という圧倒的な支持で可決。これによって新自由主義路線を完全に否定し、福祉国家・市場と資源の管理・外国軍基地の拒否などの新原則を確立する。外交面では、左派路線を明確にするベネズエラのチャベス大統領、ボリビアのモラレス大統領らと盟友関係にあり、20098年6月には米州ボリバル代替構想(ALBA)に加盟。一方で、2008年3月にはコロンビア軍が、北部の国境地帯エクアドル側にあった反政府武装組織コロンビア革命軍(FARC)の基地を越境攻撃したことをきっかけに、コロンビアとの関係が悪化、2009年に貸与契約の切れるマンタの米軍基地更新を憲法に基いて拒否し、米国との間に摩擦が生じている。
字幕翻訳:田中泉 / 校正:斉木裕明
全体監修:中野真紀子・高田絵里