アリス・ウォーカーの新作 ルワンダ、コンゴ、パレスチナで見た地獄
2010/4/13(Tue)
Video No.:
3
17分
2010年のピュリッツァー賞が発表されました。ハリケーン・カトリーナ被災で孤立した病院で患者の生死の選択を迫られた医師たちの苦悩を描く記事で受賞した「プロプブリカ」のシェリ・フィンク氏は、非営利報道機関によるはじめての受賞という快挙でした。
今日はアフリカ系アメリカ人女性として初めて同賞を受賞した作家、詩人、活動家のアリス・ウォーカー氏を招いて、新刊書について話を聞きます。タイトルは、Overcoming Speechlessness: A Poet Encounters the Horror in Rwanda, Eastern Congo and Palestine/Israel(『絶句を乗り越えて ルワンダ、コンゴ東部、パレスチナ=イスラエルで詩人が遭遇した恐怖』)。
「あまりに残酷でおぞましい状況に出会うと、人はそれを語る言葉が見つからず、心に閉じ込めてしまう」とウォーカーは言います。残虐行為を体験した人は、それを語ることができません。でも証言しなければ何も変わらず、これからも残虐行為がつづきます。
ルワンダ、コンゴ、パレスチナでウォ-カーがみたのは、まさにそうした言葉を奪われるような恐ろしい暴力でした。でも、たとえどんなに口にしにくくても、困難を乗り越えて語っていかなければならないと、詩人は決意したのです。(中野)
*アリス・ウォーカー(Alice Walker) 作家、詩人、活動家。小説『カラーパープル』で1983年のピュリッツァー賞を受賞。
Credits:
字幕翻訳:田中泉/校正全体監修:中野真紀子