グーグルがCIAと共にネット監視技術企業に出資

2010/7/30(Fri)
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便利なグーグル。ショッピングにも、旅行にも、いまやグーグルの情報は欠かせません。予約も簡単、人との待ち合わせもストリートビューで場所を確認しておけば安心です。その情報収集と分析の能力はすさまじく、ユーザーの検索履歴から、個人の居場所や趣味、年齢や、性別や、ふところ具合まで、かなり正確に推測しています。こうした情報は、効果的な宣伝を求める企業に提供され、消費者へのサービスも向上すると説明されます。でも、本当にそれだけ?

グーグルはストリートビューのサービスのため世界中の道路を撮影していますが、そのついでに周辺に住む個人の無線LANに侵入して、保護されていない個人情報を3年間にわたり記録していたことが発覚しました(ワイスパイ疑惑)。これは盗聴と同じ行為です。メールを読み、マップの利用から個人の移動も把握しているのです。吸い上げた情報を保管するため、米国各地に巨大なデータセンターも建設しているといいます。いったい何の目的で?

こうした中で気がかりなのは、グーグル社がCIAと同じ情報分析ベンチャー企業に出資しているというニュースです。レコーデッドフューチャーというマサチューセッツ州にある小さな会社で、ネットで集めた情報から将来の出来事を予想するのが仕事です。無数のサイトやブログやツイッターを監視して情報を吸い上げ、そこから抽出される過去や現在のネットワークやパターンから、将来を予想しようというものです。主な顧客は金融機関と情報機関です。

私たちの個人情報をこっそり収集し保管する企業が情報機関と協力関係をもてば、強大な力を行使しかねません。また最近のウィキリークスに関連する事件で、米国司法省がツイッターに個人情報の提出を要請したことが話題になりました。たとえツイッターやグーグルに悪意はなくとも、情報を集めていれば政治的圧力によって提出を求められることもあるでしょう。個人情報の保護のために、今後とても重要になってくる問題です。(中野真紀子)

ノア・シャクトマン(Noah Shachtman) ワイアード誌Wired magazineの寄稿編集者で同誌の国家安全保障関連問題のブログ, Danger Roomを担当 

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字幕翻訳:阿野貴史/校正:桜井まり子
全体監修:中野真紀子・付天斉