英国公務員が第二次大戦後最大のゼネスト

2011/11/30(Wed)
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2011年には英国でも画期的な直接行動が行われました。夏場の大規模スト(75万人)に続いて11月30日には200万人が参加する戦後最大のゼネストが行われました。中心となったのは公共部門労働者の組合です。教職員や病院職員、清掃職員、消防士、国境警備員など約30の官公労組の連合が24時間ストを決行しました。公立学校の6割が休校となり、自治体職員の半分以上がストに参加、英国全土で1千件に上るデモや集会が行われ歴史に残るゼネストとなりました。

きっかけは政府が年金支給開始年齢の引き上げを決定しようとしたことですが、それまでにも給与や労働条件や雇用削減など公共部門の労働者に加えられてきた攻撃に対して、遂に主流労働組合が反撃に出たのです。このことの意義について、ロンドンの有名ブロガー、Lenin’s Tomb(レーニンの墓)のリチャード・シーモアに話を聞きます。

もう一つの興味深いトピックは、大手メディアが英国の労働運動の抑圧に果たしてきた役割です。最近の電話盗聴スキャンダルで発覚したように、マードック一族が所有するメディア連合は英国の政財界に恐るべき影の力をふるってきました。マードックは資本にものを言わせて既存メディアを次々と参加に収め、保守系のイデオロギーを広める一大メディア系列をつくりあげてきました。英国では労働組合系の新聞だったサン紙を買収し、サッチャーの新自由主義改革を支持する大衆紙に改造しました。報道機関を保守系の宣伝機関につくり変え、労働者のストライキに暴力的で攻撃的なイメージを植え付けて、スト権の正当性を否定するようなイデオロギー操作を行ったと、シーモアは語ります。労働運動の弱体化にメディアが果たした役割は、今後も検証されるべきポイントです。(中野真紀子)

*リチャード・シーモア(Richard Seymour) 英国ロンドン在住の有名ブロガー。ブログは“Lenin’s Tomb”(レーニンの墓)。

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翻訳:斎藤千紘/全体監修:中野真紀子/サイト作成:丸山紀一朗