ビヨンセがスーパーボウルを席巻 ハーフタイムショーでブラックパンサーや「黒人の命も大事」に表敬
2016学生字幕翻訳コンテスト 課題6:「スポーツと政治」の受賞作です。
2月7日の第50回スーパーボウルをテレビ観戦した視聴者は1億人を上回りました。彼らはデンバー・ブロンコスがカロライナ・パンサーズを下した試合に加えて、スーパーボウル史上で最も政治的なハーフタイムショーを目にすることになりました。伝説的ポップ歌手ビヨンセが、ブラックパンサーや「#黒人の命も大事」運動に敬意を表したのです。バックステージではビヨンセのダンサーたちが拳を掲げ、1968年オリンピックでトミー・スミスとジョン・カルロスが行った「ブラックパワー・サリュート」を想起させるポーズをとりました。
スポーツライターのデイブ・ザイリンは競技場の外で起きたこと、中で起きたことを対比して論評しています。競技場の外では、スーパーボウルに先立ちホームレスの人々が路上から強制排除されており、支援者たちが当局に対し一連の抗議を行っています。スーパーボウルで金粉つきのホットドックを食べられる一方で、サンフランシスコでは人口わずか80万に対しホームレスが1万人もいるのです。
一方、競技場の中では、ハーフタイムにビヨンセがブラックパンサーにオマージュを捧げただけでなく、前日にリリースした新曲「フォーメーション」で、警官の暴力やハリケーン・カトリーナを扱いました。この曲のビデオでは、「黒人の命も大切」運動だけではなく、南部黒人の歴史的経験が描かれています。黒人女性が何百年も国家の暴力と戦ってきたこと、そして黒人文化中心の考え方、つまり子どもを守ろうとする母親や、声をあげる黒人のレズビアン女性を描いているのです。(田辺希久子)
*デイブ・ザイリン(Dave Zirin):ネイション誌のスポーツ・コラムを担当。最新記事は、「サンフランシスコの街頭で"スーパーボール・シティ”と"テント村”が対戦」。ポットカストEdge of Sportsのホストを務める。
*ビンセント・ウォレン(Vincent Warren):「憲法上の権利センター」(Center For Constitutional Rights)の代表。
字幕翻訳:上田楓 神戸市外国語大学英米学科3年 (2016学生字幕翻訳コンテスト受賞作品)
監修:中野真紀子