「命のための行進」銃規制を求める生徒たちのスピーチ

2018/3/26(Mon)
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8分

2018学生字幕翻訳コンテスト 課題1:「立ち上がる高校生」の受賞作です。

学校内での銃乱射事件が止められない米国。それに対処する措置として大統領が提案するのが教師も銃で武装させることだなんて寒い冗談のようですが、もう大人たちに任せてはおけないとばかりに立ち上がった高校生たちの画期的な大規模行動は、新しい運動の時代を予感させます。

フロリダ州パークランドのマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校で2018年2月14日、元生徒が校内に侵入してAR-15ライフル(軍用自動小銃の民間仕様版)を乱射し、生徒や教職員17名が死亡する事件がありました。それから約1カ月後の3月24日、事件を経験した生徒らが主体となり、銃規制強化を議会に求める抗議行動が全米800カ所以上で一斉に催されました。首都ワシントンのデモ行進March for Our Livesには主催者発表で80万人が参加し、他にもニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルスなどでも大規模なデモが行われ、近年まれにみる大規模な抗議行動の日となりました。

ワシントンの行動では、高校生たちが次々と登壇し自らの体験に基づいた悲痛で力強い訴えを行いました。スピーチの中から、この日の行動を組織する中心となったマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校の生徒キャメロン・カスキーと、マイア・ミドルトンのスピーチを取り上げます。

彼らが求めるのは、殺傷力の高い半自動銃の禁止、半自動銃に自動銃と同じ性能を与える付属品の禁止、銃販売データベースの整備、銃購入者の身元調査の厳格化と、展示会での販売や中古市場への規制拡大、購入可能年齢の引き上げ、個人情報保護法の改正により精神科医と警察の連携を可能にすることなどです。こうした規制はこれまで銃ロビーによって阻止されてきましたが、全米ライフル協会への批判がSNSを中心に強まっており、ここへきて航空会社などスポンサー企業も手を引くようになっています。潮目の変化になるのでしょうか。(中野真紀子)

*キャメロン・カスキー(Cameron Kasky):March for Our livesを呼びかけた高校生。マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校の襲撃事件で多数の同級生を失った。

*マイア・ミドルトン(Mya Middleton):シカゴに住むティーンエージャー。銃暴力が日常化していると訴えた。

Credits: 

字幕翻訳: 阿部圭吾 早稲田大学文化構想学部 2年/小林剛士 東京外国語大学言語文化学部 2年(ともに2018コンテスト受賞時) 監修:中野真紀子