100カ国以上がWTOに求めるワクチン特許の適用免除を米国が阻む理由は?
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2021学生字幕翻訳コンテスト 課題1:「知的財産権と人命」の受賞作です。
新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるために、ワクチン接種の重要性が叫ばれています。しかし、WTO(世界貿易機関)が加盟国に課す知的財産権保護の規定によって、大手製薬会社は新型コロナワクチンの生産や流通を独占しています。その結果、ワクチンが一部の豊かな国に集中し、貧しい国ではワクチン接種の見通しが立たないという不平等が生じています。この状況を変えるために、南アフリカとインドを中心に、WTOの知的財産権保護規定の一時的免除(waive)を求める提案がなされました(ウェイバー提案)。製薬会社に一時的に知的財産権(ここでは特許権)を放棄させ、各国が自由にワクチンを製造できるようにするというものです。南アフリカWTO国連代表部のガマ氏と、シャコウスキー議員に話を聞きました。
WTOの知財関連の通称協定はTRIPSと呼ばれています。この協定によりWTO加盟国は知的財産権を保護する義務を負っています。この義務は、各国政府が自国民の利益を守る義務との板挟みに追いやることもあります。知的財産権は人の命をまもるための政府の施策の妨げになるという事実が、コロナウィルスの世界的流行で浮き彫りになりました。
•ムスタキーム・デ・ガマ(Mustaqeem De Gama) WTO南アフリカ代表団メンバー •ジャン・シャコウスキー(Jan Schakowsky)イリノイ州第9区選出の民主党連邦下院議員。筆頭院内副幹事で、消費者保護商取引小委員会の委員長を務める。
字幕翻訳:若山恵梨子 金城学院大学文学部英語英米文化学科4年(2021年コンテスト当時) 監修:中野真紀子