元陸軍長官も撤廃を求める米軍の同性愛公言禁止政策
米軍は第2次大戦の頃から同性愛者を軍規によって排除してきました。これを廃止すると公約して当選したビル・クリントン大統領は、保守派や宗教右翼などの猛烈な反対に遭い、妥協の結果、同性愛を公言しない条件で従軍を認める法案を通過させました。"Don't ask, don't tell”(聞かない、言わない)と呼ばれるこの政策は、同性愛者に自らを偽ることを強いるもので、この15年で約13000人の違反者が除隊させられています。士官学校を卒業したアラビア語の専門家ダン・チョイ中佐もその1人です。
バラク・オバマは選挙中この同性愛公言禁止政策の撤廃を公約していましたが、就任後はいっこうにそれにとりかかる気配がありません。政府の無策に業をにやしたゲイ人権運動家たちが企画した今回のワシントン行進には、ダン・チョイ中佐もかかわっています。
この問題について、前陸軍長官のクリフォード・アレクサンダーと、米軍のゲイ排除がアメリカを弱体化させると論じた『アンフレンドリー・ファイヤー』の著者ナサニエル・フランクから話を聞きます。(中野)
クリフォード・アレグザンダー(Clifford Alexander)
カーター政権でアフリカ系として初めての陸軍長官に就任した。長年ワシントンDCで法律事務所を営み、ケネディ政権やジョンソン政権でも公民権担当の大統領顧問をつとめた。
ナサニエル・フランク (Nathaniel Frank)
Unfriendly Fire: How the Gay Ban Undermines the Military and Weakens America(『アンフレンドリー・ファイア:いかにゲイ排除が軍とアメリカを弱体化させるか』) の著者。カリフォルニア大学サンタバーバラ校パーム・センターの上級研究員で、専門は軍隊におけるジェンダーとセクシャリティ
字幕翻訳:永井愛里
校正・全体監修:北丸雄二・中野真紀子・付天斉