「貧困は最大の人権問題」アムネスティ・インターナショナル事務総長
10月17日は国際貧困撲滅デーです。米国での貧困率はいまやこの11年間で最悪の13.2%にまで上昇しています。世界を見渡せば、人類の1/3にあたる20億人もが1日2ドル未満で暮らす貧困状態にあり、その半分の10億人は1日1ドル未満の極貧です。国連の発表によれば、世界では毎日10億人以上が飢えに瀕しています。でもアムネスティ・インターナショナルのアイリーン・カーン事務総長は、こうした数字だけでは、貧困の全体像は見えないと言います。
「貧しい人は恐怖の中で生きています」とカーンは言います。女だから、マイノリティだからといって教育や就職の機会を奪われ、仕事の不安定が住むところや食事がおぼつかない慢性的な不安につながります。経済援助をして収穫量が増えても、彼らに必要な土地の権利は保証されず、学校を建てても就学できるとは限りません。
本当に貧困から救い出すつもりなら、お金や仕事だけでなく、彼らの権利を保障することが肝心です。そうすれば彼ら自身が権利を主張し、自分で貧困から抜けだすでしょう。その過程で大切なのは、団結して声をあげることを学ぶことです。貧しい人々に声が与えられれば、どんなに多くのことができるかを、バングラディシュ出身のカーンは自分の体験をもとに語ります。(中野)
*アイリーン・カーン (Irene Khan) 国際人権救援機構アムネスティ・インターナショナルの事務総長。バングラディッシュ出身で、初めての女性の事務総長となった。2006年シドニー平和賞を受賞。インタビュー当日(09年」10月16日)に米国で発売になった新著はThe Unheard Truth: Poverty and Human Rights(『聞こえない真実 貧困と人権』)
字幕翻訳:中村達人/校正:関房江
全体監修:中野真紀子