アノニマス参上:世界に広がるハクティビズム
最近は日本のデモでもおなじみになったアノニマス。ちょっと不気味なガイフォークスのお面のせいか、たんに粛々とお掃除をするだけのデモでもアピール度は強烈です。でもネットではなかなか勇猛で、機密情報のリークを助けたり、自由な言論を弾圧しようとする大企業に対しては正義の鉄槌を下すべく集団攻撃もやっちゃいます。
アノニマスのように政治・社会的な主張を掲げてハッカー攻撃をしかけるオンラインのアクティビズムを「ハクティビズム」と呼びます。アノニマス関連の事件として有名なのは2010年12月、ウィキリークスの口座を凍結して支援金の送金を妨害したマスターカードとVISAにハッカー攻撃を仕掛け、サイトを一時的にダウンさせたことです。その他にも、ソニー、PayPal、アマゾン、バンク・オブ・アメリカ、サイエントロジー(宗教団体)、エジプト政府、チュニジア政府、シリア政府などが攻撃対象になりました。なんだかオソロシげな集団に聞こえますが、アノニマスの源流にあったのは日本の2チャンネル文化です。こんなふうに進化したのも、祭りのノリが嵩じたのかも。(中野真紀子)
*ピーター・ファイン(Peter Fein)中東での言論の自由と開かれたインターネットをサポートしたボランティア組織「テレコミックス」(Telecomix)で活動している。ハクティビスト集団「アノニマス」との調整役も果たし、インターネット・リレー・チャットルームの管理人も務める。サンフランシスコの地下鉄網を運営するベイエリア高速鉄道公社(BART)を標的にした「バート作戦」に関わった。
*ガブリエラ・コールマン(Gabriella Coleman)ニューヨーク大学の助教でメディア・文化・コミュニケーション学を教えている。Coding Freedom: The Aesthetics and the Ethics of Hacking(『自由の符号化:ハッキングの美学と倫理』)をプリンストン大学出版から刊行の予定。現在「アノニマス」とデジタル・アクティヴィズムについての本を執筆中。
*名無しの"X" ハッカー活動家集団アノニマスの一員で、身の安全のためハンドルネームにて登場。8月15日のBART抗議行動の中心人物 。
字幕:桜井まり子/全体監修:中野真紀子/サイト作成:丸山紀一朗