マニング裁判開始「私たちは内部告発に頼るしかない」
法律家のグレン・グリーンウォルドがブラッドリー・マニング上等兵の軍事裁判、米国政府による監視体制、ジャーナリストへの威嚇について語ります。
史上最大規模の国家機密を漏洩して軍事裁判にかけられているブラッドリー・マニング上等兵は予備審問で漏洩の事実を認め、司法取引を求めました。予備審問で初めて証言台に立ったマニングはウィキリークスに機密を渡した動機として、「戦争の本当のコスト」を米国人に示し、米国の外交政策について国内議論を促したかったからだと述べました。
マニングがニューヨークタイムズやワシントン・ポストなどの一流紙に機密の公開を持ちかけていたことも法廷で明かされました。米司法省はジュリアン・アサンジの訴状を用意していると言われますが、大手新聞社がウィキリークスより先に情報の漏洩を知っていたとすれば、現在英国のエクアドル大使館で事実上軟禁状態にあるアサンジの訴追の可能性にも影響するものと思われます。
グリーンウォルドは、マニングをしのぐ史上最大の漏洩事件となったエドワード・スノーデンによるNSA監視プログラムの暴露にも深く関与しています。オバマ政権が内部告発者やジャーナリズムへの抑圧をより一層強めて来た矢先だけにグリーンウォルド自身もリスクを負う可能性があります。「私たちが政府の行動を知るにはもはや内部告発に頼るしかない」とグリーンウォルドは語っています。
米政府は国家の安全を脅かしたという理由で利敵行為、スパイ防止法などを内部告発者に適用していますが、国家の安全とは何なのか。国民が主権者であるとすれば、内部告発者たちが身を挺して暴露した政府の政策こそが人々の安全を脅かしているのではないでしょうか。(桜井)
*グレン・グリーンウォルド(Glenn Greenwald):英ガーディアン紙コラムニスト。憲法を専門とする法律家でWith Liberty and Justice for Some: How the Law is Used to Destroy Equality and Protect the Powerful著者。
字幕翻訳:中森圭二郎 / 校正・Web作成:桜井まり子
全体監修:中野真紀子