米国が対エジプト軍事援助を一時停止 その実態は

2013/10/18(Fri)
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米政府は2013年10月9日、エジプトへの軍事援助の一部を一時停止すると発表しました。エジプトでは民主選挙で選ばれたモルシ大統領が軍によって7月3日に解任され、軍主導の暫定政権が発足しましたが、治安部隊によるムスリム同胞団とその支持者への弾圧で多数の死者が出るなどの混乱が続いていました。

1979年のイスラエル・エジプトの平和条約以降、イスラエルに次いで多額の軍事援助をエジプトへ供与してきた米国が実際に援助停止を決定したことは大きなニュースとして報じられました。しかし、アルジャジーラ英語放送でエジプトを取材したアンジャリ・カマトは、援助停止は暫定措置で象徴的行為にすぎないと指摘します。

停止されると報じられた戦闘機や戦車など大型武器は現在のエジプトでは必要とされておらず、現地では荷が解かれていない戦車もある一方、テロ対策や治安維持のための資金援助や軍人の教育などはひきつづき継続します。オバマ大統領は「民主政府への確たる進展がみられるまで」停止すると述べましたが、米国のエジプト軍部に対する影響力の低下も指摘される中、エジプト情勢が中東全体にどのような影響を与えるか、引き続き注目されるところです。(桜井まり子)

*アンジャリ・カマト(Anjali Kamat):アルジャジーラ放送の番組「フォールトラインズ」特派員。

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字幕翻訳:川上奈緒子 校正:桜井まり子