バーバラ・リー下院議員:終わりなき戦争を可能にしている9.11武力行使権限を撤回せよ
2017学生字幕翻訳コンテスト 課題4:「武力行使の白紙委任状」の受賞作です。
9.11同時多発テロ事件から15年の節目に、米国の戦争拡大と恒久化の端緒となった武力行使権限(AUMF)を振り返ります。9月11日の攻撃から3日のうちに米国議会がほぼ全会一致で採択したAUMFは、この攻撃の責任者と協力者に対する武力行使の権限を大統領に与えるものです。これにより米国はアフガニスタンを攻撃し、米国史上で最長の戦争の端緒を開くことになりました。
しかし、この決議はその後に拡大解釈され、9.11事件とはなんの関係もない国々への軍事攻撃を議会に諮ることなしに行う根拠とされることになりました。シリア、ソマリア、イエメンと米国の戦闘領域は拡大し、多くの国民はその事実さえ知りません。おまけに、国際テロ防止を口実に自国民の通信内容まで盗聴することが可能になっています。
当時ただ一人だけ反対票を投じたカリフォルニア州選出の民主党下院議員バーバラ・リー(Barbara Lee)によれば、AUMFが武力行使の法的根拠として使われたことは過去15年に世界各地を対象に37回もあったそうです。これでは戦争開始を議会の権限とする米国憲法の条文が無効になったも同然です。こうした拡大解釈による違憲状態を終わらせるために、リー議員は新たな武力行使権限を決議することによって従来のものを無効にすることを提案しています。毎年、予算審議のたびに提案しているそうですが、次第に議員のあいだに超党派で支持が広がっていると彼女は言います。
このインタビューは民主党オバマ政権末期のものですが、トランプ政権への交代後も米国の戦争は続いています。AUMFをめぐる議論は今後も浮上するでしょう。(中野真紀子)
バーバラ・リー(Barbara Lee):カリフォルニア州選出の民主党下院議員 。進歩派議員連盟の平和と安全委員会の議長。
字幕翻訳: 糸永光代 パリ第三大学通訳翻訳高等学院 ESIT 翻訳科2年(2017学生字幕翻訳コンテスト受賞時)
監修:中野真紀子