チリの国民投票はピノチェト時代の憲法の改正を圧倒的に支持
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2021学生字幕翻訳コンテスト 課題5:「中南米とアメリカ」の受賞作です。
2020年10月、チリで国民投票が行われ、ピノチェト独裁政権時代の憲法の廃止と新憲法の起草を圧倒的多数の国民が支持しました。これを祝って、数万人が街頭に繰り出しました。前年の2019年に社会経済的格差に対する大規模な抗議行動が国を揺るがした結果、根本的な社会改革への道に踏み出して、ちょうど一年となります。チリ最大のフェミニスト団体コルディナドラ・フェミニスタ8M(Coordinadora Feminista 8M)の広報担当ハビエラ・マンツィは、この国民投票は、政治家たちが何十年にわたり対応を怠ってきたことを、国民が実現させたものだ、と言います。
ジャーナリストのパブロ・ビバンコにも話を聞きます。カナダ在住の彼は1970年代から80年代にかけて軍事独裁政権の圧政や新自由主義体制の下での経済的困窮で国を逃れて海外に住むことを余儀なくされた多数のチリ人の一人です。今回の国民投票には、このようなディアスポラのチリ人たちも参加しました。チリの新自由主義は、長年にわたりラテンアメリカで倣うべき手本と見なされつづけてきたと、パブロは言います。「今回の国民投票によって、チリ型モデルや新自由主義のうたい文句がウソだというメッセージが、ラテンアメリカ全域に発信されました」
もうひとつのポイントは、今回の国民投票を実現させた大衆運動をけん引したフェミニズム運動の役割です。これを反映して、新憲法を起草する憲法制定議会のメンバー構成は男性と女性が半分ずつとされています。ここから生まれる新体制は、チリの歴史の新たなページを開くだけでなく、世界の歴史においても画期的なものになるでしょう。(中野)
•ハビエラ・マンツィ(Javiera Manzi)チリ最大のフェミニスト団体であるコルディナドラ・フェミニスタ8M(Coordinadora Feminista 8M)の広報応担当者 •パブロ・ビバンコ(Pablo Vivanco) チリ生まれでカナダに移住したジャーナリスト。元teleSUR英語版のTVディレクター。
字幕翻訳:佐藤優・柳千尋・古市彩乃 青山学院大学文学部英米文学科4年(2021年コンテスト当時) 監修:中野真紀子